[N1] Leçon 7

  • 『私(わたし)を離(はな)さないで』

    2005(にせんご)年(ねん)に刊行(かんこう)され日本(にほん)でもドラマ化(か)されたこの人気作(にんきさく)は、クローン技術(ぎじゅつ)が浸透(しんとう)した「もう一(ひと)つの世界(せかい)」を描(えが)く。

    舞台(ぶたい)は1990(せんきゅうひゃくきゅうじゅう)年代(ねんだい)末(まつ)の英国(えいこく)。寄宿舎(きしゅくしゃ)風(ふう)の施設(しせつ)で学(まな)ぶ主人公(しゅじんこう)の男女(だんじょ)3(さん)人(にん)は、表向(おもてむ)きは他(ほか)の子(こ)どもたちのように、絵(え)やスポーツに励(はげ)みながら成長(せいちょう)する。しかし、やがて自分(じぶん)たちが他人(たにん)にあるものを「提供(ていきょう)」するためだけに生(い)かされた特殊(とくしゅ)な存在(そんざい)であることを知(し)る。とても短(みじか)く、過酷(かこく)な運命(うんめい)を強(し)いられた若者(わかもの)たちの悲痛(ひつう)な物語(ものがたり)だ。

    抑制(よくせい)の効(き)いた語(かた)り口(くち)とは対照的(たいしょうてき)に、この激(はげ)しい感情(かんじょう)に触(ふ)れて見(み)ろと言(い)わんばかりのドラマが展開(てんかい)される。淡々(たんたん)とした語(かた)り口調(くちょう)と過酷(かこく)な描写(びょうしゃ)が相(あい)まって、見(み)るのが辛(つら)く感(かん)じる時(とき)もある。それでも物語(ものがたり)が面白(おもしろ)く、飽(あ)きるまで何度(なんど)もこのドラマを見(み)まくった。

    男女(だんじょ)の壊(こわ)れやすい友情(ゆうじょう)と恋愛(れんあい)をつづり、信(しん)じるに足(た)りない人(ひと)に囲(かこ)まれている姿(すがた)や、強(つよ)く信(しん)じていたことが崩(くず)れ去(さ)るに至(いた)っても人生(じんせい)を諦(あきら)めない強(つよ)い姿勢(しせい)を描(えが)く。親(おや)として、何(なに)にもましてうちの子供(こども)がそんな苦悩(くのう)を経験(けいけん)しないといいと思(おも)わずにはいられない。また、このドラマは主人公(しゅじんこう)らを見守(みまも)る教師(きょうし)たちの葛藤(かっとう)や苦悩(くのう)も描(えが)く。実際(じっさい)にこのような目(め)に遭(あ)っている人(ひと)を救(すく)う方法(ほうほう)はないものだろうか。

    イシグロ氏(し)は来日時(らいにちじ)のインタビューで「命(いのち)は、はかない。私(わたし)はこの作品(さくひん)をただのSFという風(ふう)には考(かんが)えていない」と語(かた)っていた。取材(しゅざい)を兼(か)ねてこのような話(はなし)が聞(き)けるとは。このドラマは突飛(とっぴ)めいた内容(ないよう)であるように見(み)えて、実(じつ)は他人(ひと)ごとではない。誰(だれ)にとっても人生(じんせい)は有限(ゆうげん)で、終(お)わりは思(おも)いのほか早(はや)く来(く)るかもしれない。作家(さっか)はその心理(しんり)を、虚構(きょこう)の力(ちから)を使(つか)って強調(きょうちょう)して見(み)せているだけなのだ。逃(に)げられない現実(げんじつ)をどう受(う)け入(い)れ、どう生(い)きていくのかと、静(しず)かに問(と)いかけながら。

    一生(いっしょう)で成(な)し遂(と)げられることは限(かぎ)られている。でも、日々(ひび)積(つ)み上(あ)げた小(ちい)さな喜(よろこ)びの瞬間(しゅんかん)は記憶(きおく)の中(なか)で生(い)き続(つづ)ける。そう思(おも)った時(とき)、悲(かな)しいディストピア(半(はん)理想郷(りそうきょう))的(てき)な小説(しょうせつ)が優(やさ)しい色合(いろあ)いを帯(お)び始(はじ)める。

    このような深(ふか)い作品(さくひん)をドラマで見(み)ることができ、嬉(うれ)しい限(かぎ)りだ。

    突飛(とっぴ)=行動(こうどう)や発想(はっそう)が、斬新(ざんしん)・奇抜(きばつ)であるさまなどを意味(いみ)する表現。

  • 『新型(しんがた)スマホとAI(エーアイ)の進化(しんか)』

    韓国(かんこく)サムスン電子(でんし)は、22(にじゅうに)日(にち)、主力(しゅりょく)スマートフォン「ギャラクシー」の新型(しんがた)モデル「S(エス)25(にじゅうご)」を発表(はっぴょう)した。AI(エーアイ)(人工知能(じんこうちのう))が複数(ふくすう)のアプリを同時(どうじ)に操作(そうさ)して業務(ぎょうむ)をこなす「AI(エーアイ)エージェント」機能(きのう)を新(あら)たに搭載(とうさい)した。31(さんじゅういち)日(にち)から予約(よやく)を受(う)け付(つ)け、バレンタインの2(に)月(がつ)14(じゅうよっ)日(か)に発売(はつばい)を開始(かいし)する。S(エス)25(にじゅうご)の最大(さいだい)の特徴(とくちょう)となるAI(エーアイ)エージェント機能(きのう)では、例(たと)えば「旅行(りょこう)のプランを調(しら)べて計画(けいかく)して友達(ともだち)に伝(つた)えて」と指示(しじ)すれば、AI(エーアイ)が様々(さまざま)なプランを調(しら)べて検討(けんとう)し作成(さくせい)、それをリストにまとめ、友人(ゆうじん)にメールで送信(そうしん)するといった作業(さぎょう)を全(すべ)て自動(じどう)で行(おこな)う。また、冷蔵庫(れいぞうこ)の中(なか)を写真(しゃしん)に撮(と)り、「この中(なか)にある食材(しょくざい)だけで作(つく)れるレシピを教(おし)えて」と指示(しじ)すれば、複数(ふくすう)のアプリを操作(そうさ)して回答(かいとう)してくれる。AI(エーアイ)が驚(おどろ)くべき進化(しんか)を遂(と)げていることは言(い)うまでもない。もはや、「人間(にんげん)をあっと言(い)わせてみせる!」というメッセージすら感(かん)じる。ただ「全(すべ)て信(しん)じるべからず」で、インターネット上(じょう)にある情報(じょうほう)が正(ただ)しいかどうか、それを確認(かくにん)することを怠(おこた)ってはいけない。お年寄(としよ)りはおろか、若者(わかもの)でさえ騙(だま)されるケースが少(すく)なくない。最近(さいきん)のAI(エーアイ)は画像(がぞう)や動画(どうが)も作(つく)ることができ、すでにソーシャルメディアには、AI(エーアイ)が管理(かんり)するアカウントがいくつも存在(そんざい)するらしい。また、その技術(ぎじゅつ)を悪用(あくよう)し、ネット上(じょう)に公開(こうかい)されている顔写真(かおじゃしん)を使(つか)って悪意(あくい)のある画像(がぞう)を生成(せいせい)する人(ひと)もいるようだ。そのような人(ひと)は何(なに)かしらの法(ほう)や規則(きそく)に則(のっと)って処罰(しょばつ)されるべきだ。さて、そんな最新(さいしん)の機能(きのう)を盛(も)り込(こ)んだサムソンの新(あら)たなスマホは、英語(えいご)だけでなく日本語(にほんご)での音声(おんせい)入力(にゅうりょく)にも対応(たいおう)するそうだ。画面(がめん)サイズは6(ろく).2(に)インチで、税込(ぜいこ)み12(じゅうに)万(まん)9000(きゅうせん)円(えん)から。高機能(こうきのう)化(か)に伴(ともな)い、前回(ぜんかい)のS(エス)24(にじゅうよん)から3(さん)〜5(ご)パーセントの値上(ねあ)げとなった。これからもスマホの高性能(こうせいのう)化(か)と高額(こうがく)化(か)がより進(すす)むと見(み)られている。

    AI(エーアイ)(人工知能(じんこうちのう))=コンピューターで、記憶(きおく)・推論(すいろん)・判断(はんだん)・学習(がくしゅう)など、人間(にんげん)の知的(ちてき)機能(きのう)を代行(だいこう)できるようにモデル化(か)されたソフトウエア・システム。

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