[N2] レッスン 8

伝統(でんとう)の自動車(じどうしゃ)耐久(たいきゅう)レース第(だい)８９(はちじゅうきゅう)回(かい)ルマン２４(にじゅうよ)時間(じかん)レース（２０２１(にせんにじゅういち)年(ねん)世界(せかい)耐久(たいきゅう)選手権(せんしゅけん)＝WEC第(だい)４(よん)戦(せん)）の決勝(けっしょう)は８(はち)月(がつ)２２(にじゅうに)日(にち)、フランス西部(せいぶ)ルマンのサルテ・サーキットでゴールを迎(むか)え、トヨタが４(よん)連覇(れんぱ)を達成(たっせい)した。なお、初(はつ)制覇(せいは)となった小林(こばやし)可夢偉(かむい)は、日本人(にほんじん)４(よ)人目(にんめ)の優勝(ゆうしょう)ドライバーとなり、「何(なに)しろ勝者(しょうしゃ)としてここにいるというのは最高(さいこう)の気分(きぶん)」と応(こた)えて喜(よろこ)びを爆発(ばくはつ)⁽¹⁾させた。
ポールポジションからトップを守(まも)り⁽²⁾、危(あぶ)なげなく順調(じゅんちょう)に走行(そうこう)、終盤(しゅうばん)のマシントラブルも技術(ぎじゅつ)にかけては超(ちょう)一流(いちりゅう)のスタッフがそれを乗(の)り越(こ)え⁽³⁾、トップを守(まも)り抜(ぬ)きチェッカーフラッグを受(う)けた。決(けっ)して楽(らく)ではなかったにも関(かか)わらず、いわゆるルマンで常(つね)に必要(ひつよう)な運(うん)も味方(みかた)⁽⁴⁾につけて「ようやく勝(か)てて特別(とくべつ)な感覚(かんかく)だ」と振(ふ)り返(かえ)った⁽⁵⁾。
ハイパーカー時代(じだい)最初(さいしょ)のルマンでも勝(か)ったトヨタ（TOYOTAGAZOORacing）は、これで２０１８(にせんじゅうはち)年(ねん)から４(よ)年(ねん)連続(れんぞく)のルマン総合(そうごう)優勝(ゆうしょう)。１ー２(ワンツー)フィニッシュは２(に)年(ねん)ぶり３(さん)回目(かいめ)となっている。
トヨタの２(に)台(だい)は、「新(しん)規定(きてい)の今季(こんき)ニューカーでのルマン」という難(むずか)しいタスクに立(た)ち向(む)かい、結構(けっこう)な試練(しれん)を味(あじ)わってもいた。特(とく)にレース終盤(しゅうばん)、２(に)台(だい)のGR０１０(ぜろいちぜろ)を燃料(ねんりょう)システム系(けい)のトラブルが順次(じゅんじ)襲(おそ)った際(さい)には、かなりの難事(なんじ)だった。このトラブルが先(さき)に起(お)きたのは８(はち)号車(ごうしゃ)。陣営(じんえい)は解決法(かいけつほう)を模索(もさく)しては、それを見出(みだ)した。のちに７(なな)号車(ごうしゃ)にもトラブルが生(しょう)じると、先例(せんれい)を活(い)かす格好(かっこう)で対処(たいしょ)し、「トラブルを最後(さいご)までコントロールすることができた」これにしたがって、後続(こうぞく)との差(さ)やレース残(のこ)り時間(じかん)も考慮(こうりょ)しつつ、うまくトラブルと付(つ)き合(あ)って⁽⁶⁾走(はし)り続(つづ)ける方策(ほうさく)を見(み)つけ、それを遂行(すいこう)できた、ということだろう。技術力(ぎじゅつりょく)と経験値(けいけんち)、そして２(に)台(だい)のマシンに競争(きょうそう)をさせつつも、チームワークを壊(こわ)さない陣営(じんえい)一丸(いちがん)⁽⁷⁾の姿勢(しせい)。これがあったから、１ー２(ワンツー)フィニッシュが可能(かのう)になったのだろう。
レースの展開的(てんかいてき)には、楽勝(らくしょう)⁽⁸⁾のように見(み)えた反面(はんめん)、陣営(じんえい)にとっては決(けっ)して楽(らく)な勝利(しょうり)ではなかった。

オリンピックをテレビやら新聞(しんぶん)やら、ネット等(とう)で見(み)て感動(かんどう)しつつ「私(わたし)もスポーツをしたくなった」と、汗(あせ)をかく⁽¹⁾生活(せいかつ)習慣(しゅうかん)が出来(でき)た人(ひと)も多(おお)くなりつつある。
私(わたし)はジムに行(い)ったって運動(うんどう)が続(つづ)かなかったが、家族(かぞく)や友人(ゆうじん)と毎週(まいしゅう)テニスをするようになった。テニスのマンツーマンレッスン⁽²⁾はとても高(たか)いが、高(たか)いお金(かね)を出(だ)してでも、上手(じょうず)になりたいと思(おも)いテニススクールに通(かよ)うようになった。せめて、中学生(ちゅうがくせい)の息子(むすこ)よりも上手(じょうず)になりたいと思(おも)っているが、テニスの腕前(うでまえ)にかけては、私(わたし)よりもはるかに上(うえ)⁽³⁾だ。いつも息子(むすこ)はテニスのゲームで私(わたし)に勝(か)って、得意(とくい)げの顔(かお)をしている。息子(むすこ)に勝(か)つには、地道(じみち)⁽⁴⁾にトレーニングをするより仕方(しかた)がない。息子(むすこ)とのゲームでは、サーブをしてはミス⁽⁵⁾をし、ボレーをしてはネットを超(こ)えずミスばかり。ボレーはともかく、まずはサーブのこつ⁽⁶⁾を掴(つか)んでゲームになる⁽⁷⁾ようにしようと思(おも)う。もっと早(はや)くからテニスをしていたらよかったと後悔(こうかい)をしている。
そして、今日(きょう)から始(はじ)まるパラリンピックでは、人(ひと)の心(こころ)を動(うご)かしつつも、社会(しゃかい)を変(か)える力(ちから)があると思(おも)う。なぜなら、２００８(にせんはち)年(ねん)の北京(ぺきん)大会(たいかい)の際(さい)に、万里(ばんり)の長城(ちょうじょう)に時間(じかん)や労務費(ろうむひ)をかけてでもロープウェイやエレベーターが整備(せいび)された。オリンピック関連(かんれん)施設(しせつ)だけでなく、公共(こうきょう)交通(こうつう)機関(きかん)、観光地(かんこうち)、ショッピングセンター、病院(びょういん)など公共(こうきょう)施設(しせつ)のバリアフリー環境(かんきょう)が大(おお)きく改善(かいぜん)された。バリアフリーが一気(いっき)に進(すす)んだのだ。これにはとても驚(おどろ)いたし感動(かんどう)した。
２０１２(にせんじゅうに)年(ねん)のロンドン・パラリンピックは「史上(しじょう)最高(さいこう)」と呼(よ)ばれている。「GET　SET」と言(い)われるオリンピック・パラリンピックを題材(だいざい)にした教育(きょういく)プログラムにより、子(こ)どもたちのパラリンピックへの関心(かんしん)が高(たか)まった。人々(ひとびと)の意識(いしき)が変(か)わって社会(しゃかい)が変(か)わるのは何(なに)しろ時間(じかん)がかかる。子(こ)どもの時(とき)から心(こころ)と体(からだ)で覚(おぼ)える。子(こ)どもたちへの教育(きょういく)は重要(じゅうよう)で、アスリートがそれをプッシュしてくれる。しかし実際(じっさい)にパラリンピックを見(み)てみないと魅力(みりょく)がわからない。１９９６(せんきゅうひゃくきゅうじゅうろく)年(ねん)アトランタ・パラリンピックのテレビの放送(ほうそう)は１(いち)時間(じかん)。ロンドン・パラリンピックでは５００(ごひゃく)時間(じかん)。英国(えいこく)⁽⁸⁾はパラリンピック発祥(はっしょう)の地(ち)であり、自国(じこく)開催(かいさい)によって、障害(しょうがい)のある人々(ひとびと)もスポーツで優(すぐ)れたことができること、社会(しゃかい)において対等(たいとう)な存在(そんざい)であることを示(しめ)すことができた。ロンドン大会(たいかい)にしたがって、東京(とうきょう)パラリンピックも沢山(たくさん)テレビ放送(ほうそう)してほしいと思(おも)う。
また、英国(えいこく)の障害者(しょうがいしゃ)雇用(こよう)の促進(そくしん)に今(いま)もなお繋(つな)がっている。２０１９(にせんじゅうきゅう)年(ねん)の調査(ちょうさ)では２０１３(にせんじゅうさん)年(ねん)の雇用数(こようすう)に比(くら)べて１３０(ひゃくさんじゅう)万(まん)人(にん)増(ふ)えたという。 この東京(とうきょう)パラリンピックでも、声援(せいえん)や期待(きたい)に応(こた)えて選手達(せんしゅたち)や世界中(せかいじゅう)の人々(ひとびと)の笑顔(えがお)が増(ふ)えることだろう。