[N1] レッスン 8

  • 『イチロー()殿堂(でんどう)()り』

    野球(やきゅう)本場(ほんば)米国(べいこく)のファンもうならせた(めい)プレーヤー、イチローさんが最高(さいこう)栄誉(えいよ)()にした。日米(にちべい)両国(りょうこく)殿堂(でんどう)()りを()たしたのだ。これは、これまでの功績(こうせき)(そく)して決定(けってい)されたものである。発表(はっぴょう)されるや(いな)や、(おお)くのファンがこの()らせに歓喜(かんき)した。この殿堂(でんどう)()りは、日米(にちべい)とも記者(きしゃ)投票(とうひょう)によって()まる。引退(いんたい)から五年(ごねん)()候補者(こうほしゃ)資格(しかく)()てすぐの殿堂(でんどう)()りとなった。得票率(とくひょうりつ)日本(にほん)92(きゅうじゅうに).(ろく)パーセント、米国(べいこく)では99(きゅうじゅうきゅう).(なな)パーセントであった。野茂(のも)英雄(ひでお)さんや松井(まつい)秀喜(ひでき)さんも候補(こうほ)には(はい)ったことがある。しかし実際(じっさい)(えら)ばれたのは、今回(こんかい)イチローさんがアジア出身(しゅっしん)としては(はじ)めてとなった。イチローさんは2001(にせんいち)(ねん)27(にじゅうなな)(さい)米国(べいこく)(わた)り、マリナーズなど(さん)球団(きゅうだん)19(じゅうきゅう)年間(ねんかん)活躍(かつやく)した。俊足(しゅんそく)()かした走塁(そうるい)広角(こうかく)()()ける(たく)みな打撃(だげき)、「レーザービーム」と()ばれた外野(がいや)からの(こう)返球(へんきゅう)は、(いま)(おお)くのファンの記憶(きおく)(のこ)っているだろう。米国(べいこく)選手(せんしゅ)体格(たいかく)()らすと(けっ)して大柄(おおがら)体格(たいかく)ではないが、走攻守(そうこうしゅ)三拍子(さんびょうし)(そろ)ったプレーで観客(かんきゃく)()かせた。(かれ)がパワー重視(じゅうし)だった(だい)リーグの野球(やきゅう)(かん)()えたことは()うまでもない。これまでパワーが(すべ)てだと(かんが)えていた当時(とうじ)野球(やきゅう)ファンは、さぞ(おどろ)いたことだろう。日米(にちべい)通算(つうさん)4367(よんせんさんびゃくろくじゅうなな)安打(あんだ)記録(きろく)した(とき)(おどろ)きといったらない。本塁打(ほんるいだ)世界(せかい)記録(きろく)()(おう)貞治(さだはる)さんが「ボールとバットの(しん)(むす)天才(てんさい)だ。」と(ひょう)するほどである。一秒(いちびょう)たりとも無駄(むだ)にはしない、そういった姿勢(しせい)野球(やきゅう)()()んできたからこその、今回(こんかい)殿堂(でんどう)()りだ。45(よんじゅうご)(さい)現役(げんえき)引退(いんたい)した(あと)は、マリナーズの役職(やくしょく)()きながら、高校(こうこう)球児(きゅうじ)指導(しどう)女子(じょし)野球(やきゅう)普及(ふきゅう)にも尽力(じんりょく)している。野球(やきゅう)人口(じんこう)減少(げんしょう)背景(はいけい)に、(すこ)しでも野球(やきゅう)()()げたいといったところだろう。イチローさんにはこれからも野球(やきゅう)素晴(すば)らしさを次世代(じせだい)(つた)えてほしい。

    殿堂(でんどう)()り=その分野(ぶんや)業績(ぎょうせき)のあった(ひと)(こう)顕彰(けんしょう)し、名前(なまえ)功労者(こうろうしゃ)名簿(めいぼ)(くわ)えること。

  • 『アメリカの移民(いみん)たちは(いま)…』

    トランプ()がアメリカ大統領(だいとうりょう)就任(しゅうにん)してから27(にじゅうしち)(にち)(いっ)週間(しゅうかん)()つ。早速(さっそく)最大(さいだい)公約(こうやく)とも()える、不法(ふほう)移民(いみん)問題(もんだい)をめぐる(うご)きが(はげ)しさを()している。先週(せんしゅう)のトランプ()()度目(どめ)就任式(しゅうにんしき)演説(えんぜつ)では、「侵略(しんりゃく)されている」という言葉(ことば)使(つか)い、被害者(ひがいしゃ)意識(いしき)強調(きょうちょう)した。こうした文脈(ぶんみゃく)でトランプ政権(せいけん)(すす)めているのが不法(ふほう)移民(いみん)摘発(てきはつ)強制(きょうせい)送還(そうかん)である。移民(いみん)(くに)でもあるアメリカには(いま)(おお)くの(ひと)(うつ)()んでいる。ここで問題(もんだい)となっているのが、法的(ほうてき)手続(てつづ)きを()ずに入国(にゅうこく)したケースだ。レビット報道官(ほうどうかん)23(にじゅうさん)(にち)不法(ふほう)移民(いみん)摘発(てきはつ)着手(ちゃくしゅ)したとして、「犯罪歴(はんざいれき)のある不法(ふほう)移民(いみん)538(ごひゃくさんじゅうはち)(にん)拘束(こうそく)した」と(あき)らかにした。また、強制(きょうせい)送還(そうかん)にも()()すとして、24(にじゅうよっ)()には、グアテマラに265(にひゃくろくじゅうご)(にん)強制(きょうせい)送還(そうかん)された模様(もよう)だ。しかし、「これらはバイデン政権(せいけん)(とき)(おこな)われており、現状(げんじょう)ではトランプ()()う『アメリカ史上(しじょう)最大(さいだい)規模(きぼ)強制(きょうせい)送還(そうかん)』にはなっていない」とか「特別(とくべつ)注目(ちゅうもく)することではなく、心配(しんぱい)には(およ)ばない」とか、そういった(こえ)もでている。こうした(なか)で、26(にじゅうろく)(にち)南米(なんべい)のコロンビアは強制(きょうせい)送還(そうかん)(おこな)われそうになると「移民(いみん)尊厳(そんげん)(まも)られない(かぎ)()()れることはない。アメリカの()人道的(じんどうてき)措置(そち)納得(なっとく)できず、そうした次第(しだい)だ」と着陸(ちゃくりく)拒否(きょひ)し、それに(たい)してトランプ大統領(だいとうりょう)(ほか)慎重派(しんちょうは)意見(いけん)をよそに、コロンビアに関税(かんぜい)25(にじゅうご)パーセント()すなどの報復(ほうふく)措置(そち)をとると表明(ひょうめい)し、外交(がいこう)問題(もんだい)拡大(かくだい)している。さらにトランプ大統領(だいとうりょう)は「これは措置(そち)(はじ)まりに()ぎない。コロンビア政府(せいふ)犯罪者(はんざいしゃ)強制(きょうせい)送還(そうかん)について法的(ほうてき)義務(ぎむ)(そむ)くことを(ゆる)さない」と警告(けいこく)し、最優先(さいゆうせん)課題(かだい)にあげる国境(こっきょう)管理(かんり)のための()()みを(さまた)げれば、強硬(きょうこう)対応(たいおう)をとる姿勢(しせい)鮮明(せんめい)にした。コロンビアはそれを()け、「アメリカがこちらに(たい)25(にじゅうご)パーセントの関税(かんぜい)をかけるとあれば、こちらもアメリカからの輸入品(ゆにゅうひん)(たい)する関税(かんぜい)25(にじゅうご)パーセントに()()げるつもりだ」と()べ、値上(ねあ)がりが見込(みこ)まれるアメリカからの輸入品(ゆにゅうひん)について、国産品(こくさんひん)への()()えを支援(しえん)するとした。強硬(きょうこう)姿勢(しせい)()せるアメリカにしたって、これは打撃(だげき)となるだろう。完全(かんぜん)発言(はつげん)撤回(てっかい)はしないまでも、姿勢(しせい)(ゆる)める可能性(かのうせい)はある。このような(うご)きを()せるアメリカの移民(いみん)政策(せいさく)影響(えいきょう)()けるのは、コロンビアに(かぎ)ったことではない。今後(こんご)トランプ政権(せいけん)外交(がいこう)、そして移民(いみん)政策(せいさく)はどのような(みち)辿(たど)るのだろうか。

    強制(きょうせい)送還(そうかん)密入国(みつにゅうこく)(しゃ)国内(こくない)犯罪(はんざい)行為(こうい)などを(おこな)った外国人(がいこくじん)を、国家(こっか)権力(けんりょく)によって本国(ほんごく)(おく)(かえ)すこと。

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