すらEven

「すら」は「さえ」と同(おな)じような意味(いみ)で使(つか)われる副助詞(ふくじょし)です。「も」にも似(に)ていますが、「すら」は「も」よりもっと極端(きょくたん)な例(れい)を示(しめ)すときに使(つか)われます。これは、グループの中(なか)で最(もっと)も極端(きょくたん)な例(れい)に当(あ)てはまるのだから、それ以下(いか)のものも当然(とうぜん)当(あ)てはまる、といったニュアンスを含(ふく)みます。主(おも)に否定的(ひていてき)な文脈(ぶんみゃく)の中(なか)で使(つか)われるのが特徴(とくちょう)です。

「すら」は副助詞(ふくじょし)なので、名詞(めいし)や格助詞(かくじょし)が付(つ)いた名詞(めいし)の直後(ちょくご)に置(お)かれます。

• 鉛筆(えんぴつ)すら持(も)ってきてないの？本当(ほんとう)にやる気(き)あるの？

  You didn't even bring a pencil? Do you actually want to do this?
• 子供(こども)ですらできることをできないのか。お前(まえ)よくここまで生(い)きてこれたな。

  You can't do what even a child can do. How have you managed to live this long?
• 彼(かれ)にすら話(はな)してないのに、親(おや)と話(はな)すわけがない。

  I haven't even talked to my boyfriend about it, there is no way I'm telling my parents.

さらに強調(きょうちょう)を強(つよ)めたいときは、「すら」の後(あと)に「も」を付(つ)けることもできます。

• ガラケーすらも使(つか)えないのに、パソコンが使(つか)えるわけないじゃん。

  I can't even use a flip phone, there is no way I can use a computer.

注意点(ちゅういてん)

「すら」と「さえ」はよく似(に)ていますが、使(つか)い方(かた)にはいくつか違(ちが)いがあります。まず「すら」は「さえ」よりも硬(かた)い表現(ひょうげん)です。また「さえ〜ば」のように「ば」を使(つか)う構文(こうぶん)に「すら」は使(つか)えないので「すら〜ば」とは言(い)えません。さらに「さえ」は個別(こべつ)の例(れい)に焦点(しょうてん)を当(あ)てて使(つか)われるのに対(たい)し、「すら」はあるグループ全体(ぜんたい)で最(もっと)も極端(きょくたん)な例(れい)を取(と)り上(あ)げるときに使(つか)われることが多(おお)いです。

• そこさえ乗(の)り越(こ)えれば、あとは楽(らく)になるよ。

  If you can overcome that, everything will be a breeze.
• そんなことさえ乗(の)り越(こ)えることができないのなら、この先(さき)何(なに)もできませんよ。

  If you can't even overcome something so simple, you won't be able to do anything beyond this point.

豆知識(まめちしき)

「は」「も」「さえ」「すら」はどれも副助詞(ふくじょし)で、話(はな)し手(て)がどの程度(ていど)の意外性(いがいせい)を感(かん)じているかによって使(つか)い分(わ)けられます。以下(いか)、大(おお)まかにですが整理(せいり)してみましょう。

(A) は - 予想(よそう)される内容(ないよう)を示(しめ)す。意外性(いがいせい)はない。

(A) も - ほかにも同(おな)じような例(れい)があることを示(しめ)す。意外性(いがいせい)がある場合(ばあい)もない場合(ばあい)もある。

(A) さえ - 個別(こべつ)に見(み)ると意外性(いがいせい)のある例(れい)を示(しめ)す。意外(いがい)な (A) までそうなら、ほかもそうだろうというニュアンス。

(A) すら - 最(もっと)も極端(きょくたん)で意外(いがい)な例(れい)を示(しめ)す。それがそうなら、ほかは言(い)うまでもないという強(つよ)いニュアンス。